となりの一条三兄弟!



「逃げないで。これから楽しいパーティーが始まるよ」

「……っ」

「だから茉莉ちゃん。早くこっちにおいで」

昴さんの手が私の肩へと伸びる。


「イヤあああ……!」

恐怖でそのまま床にうずくまると、この空気にそぐわない冷静な声が飛んできた。


「いい加減にしろ」

ため息まじりのその声に慌てて顔を上げると、開かなかったはずのドアが開いていて、そこには一条聖が立っていた。


「やり過ぎだ、お前ら」

呆れた顔をしながらも、その手は私へと差し伸べられている。


「立てる?」

初めて聞いた不機嫌じゃない声。


手を掴みたくても体が震えてどうにもならない。むしろ腰が抜けてしまったらしくて、足にも力が入らなくなっていた。

ポロポロと涙が溢れてきて、なにがどうなってるのかまだ理解できない。


「わわ、ご、ごめん!まりりん!泣かないでー!」

気づくと後ろから暖かい感触がして、晶くんが私を抱きしめていた。するとすぐに一条聖の拳骨(げんこつ)が晶くんの頭へと落ちる。

< 19 / 206 >

この作品をシェア

pagetop