となりの一条三兄弟!
やっぱり先生の雑談に付き合うことになった。
4億8千万年前の話とか昆虫の正体は実は宇宙人だったとか内容は面白いんだけど、本当に話が長いことだけには困っている。
気づけば校舎から生徒たちの声が消えていて、教室に戻ると窓からは夕焼けが射し込んでいた。
……なんだか怪しい夕焼け空。
ほうき雲がまるで蛇のようにクネクネとしていて、外では黒猫同士が喧嘩をしている。
夜への橋渡しのような時間。
明るくも暗くもない外の景色。電線に止まるカラスがこっちを見ている気がしてイヤな感じだ。
たしかこういう時間帯を〝逢魔が時〟って呼ぶんだっけ。
まさに魔物に遭遇しそうな不気味な雰囲気。そんなことを考えているとますます怖くなってきた。静かすぎる校舎がさらに怪しさを誘発させている。
と、その時――。
ガタッと誰もいない教室から音がした。
音のしたほうを見ても誰もいない。
気のせいか……とカバンを肩にかけると、再びガタッガタと今度は2回。
……今……机が動いた?
心臓がバクバクとうるさい。
スッと私の視界を黒いものが横切った気がして「ひぃぃ」と今まで発したことのない声が出た。
な……に……なんなの?
私は慌てて廊下へと飛び出した。
確認するようにもう一度だけ教室を見ると、窓も開いていないのに白いカーテンがゆらゆらと揺れている。
恐怖で背筋がゾワッとして、私はその場から急いで逃げた。