エリート御曹司が花嫁にご指名です
「あ、そうだわ。壮二とケンカしたの?」
「ケンカじゃないわ。お見合いに反対されたから、私が一方的に言っただけ」
「壮二もいい年なんだから、結婚してくれればいいのに。妹のことばかり気になって。今日のお見合いの場所と時間を聞かれたわ。当直だから見に行くこともできないのにね」
 
 つくづく当直でよかったと思う。邪魔をしに来られたら困る。

「お母さん、ふたりが片づいちゃったら寂しくて仕方ないわよ?」

 まだ当分先の話を口にした自分がおかしくて、クスッと笑う。

「いいのよ。心配事がなくなったら、気兼ねなく旅行へ行ったりして、思う存分楽しむことにするから。ほら、遅刻しちゃうわよ。行ってらっしゃい」

 腕時計へ目を落とし、時間を確認して「あっ!」と声を出す。

「いけないっ、早く行かなきゃ」

 私はリビングを出て、華奢なピンヒールに足を入れた。



 白石さんと待ち合わせをしているのは、六本木にあるラグジュアリーなホテルの高層階にあるラウンジ。

 そこへ向かう私は、緊張した面持ちでエレベーターに乗り込む。

 少し前にメッセージアプリのIDを交換済みの白石さんから、【着いています】と連絡が入っていた。

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