エリート御曹司が花嫁にご指名です
「すみません。私は持ってきていません」

 初対面で自分の出生や経歴を詳しくさらけ出したくはなかったので、用意してきていなかった。

 まさか白石さんが持参してくるなんて……。

「今の段階では、こちらは不要――きゃっ!」

 話している私の横に、誰かが立ったのはわかった。オーダーしたものを運んできたスタッフかと思ったが、ふいに私が持っていた用紙が奪われたのだ。

 手にしていたものを突然奪われて、急いでそちらの方向を仰ぎ見た。

 次の瞬間、私は驚愕と言っていいほどの驚きで、口をパクパクさせただけで声が出せなかった。

「こんなものはもちろん不要だ。お返しします」

 唖然となる私に断固とした口調で言い放ったのは、桜宮専務だった。

 堂々とした佇まいの上司は、パーソナルデータの書かれた用紙を白石さんの膝へ落とした。

「すまないが、彼女に見合い相手は必要ない」

 突として現れた、威風堂々とした男性に、白石さんは茫然となっている。私と桜宮専務に視線を交互に動かしているだけだ。

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