エリート御曹司が花嫁にご指名です
「桜宮専務、ランチにここは高級すぎます」
「そうか? 病み上がりだから、和食のほうがいいだろう? 鰻は好きだったよな?」

 以前から汐里の好みは把握済みだった。それは意識してではなく、自然と記憶されていた。

「はい……気にかけてくださり、ありがとうございます」

 俺は襖のところで注文を待っていた仲居にオーダーした。

「壮二から、乗馬クラブのモデルをしたせいだと聞いた。以前から乗馬のことは知っていたが、まだ乗っていたんだな」

 スタイルのよさは生まれつきのものがあるが、乗馬もスタイルアップにいいと聞いている。だから、女性らしいラインを保ちつつ、スタイルがいいのだろう。

 そう考えて俺はハッとなった。

 最近、頓に汐里が気になっていることに。

「ときどきです。もう若い頃のように同じようには乗れません。本当に、自己管理ができずに申し訳ありませんでした」
「驚いたが、謝ることはない。若い頃のようにって、まだ若いだろう?」

 顔を顰めた汐里は、大きく首を左右に振って「若くはないです」と否定する。

「俺には入社した頃と同じように見える」
「だとしたら、入社してから今まで進歩していないということになります」

 なにを卑下しているのか……。

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