エリート御曹司が花嫁にご指名です
「汐里、海外へ行って自分を見つめ直したいんじゃなかったのか? だから辞めたいと」

 刺すような視線を向けると、汐里はじりっと一歩二歩後退する。

「ええっ!? しおりんがそんなことを? それに会社を辞める? 聞いてないですよ」

 壮二は知らなかったのか。

「壮兄、もう余計なこと言わないで。桜宮専務、送ってくださりありがとうございました。お気をつけておかえりください」

 汐里はもう一度頭を下げ、壮二の腕をガシッと掴んで門扉のほうへ足を運んだ。

「しおりん! 見送らないのか?」

 茫然とふたりの背中を見ているうちに、彼らは門扉の中へ消えていった。


 俺はその日、壮二に電話をかけ、汐里の見合い話を聞いた。

『会社を辞めるのは聞いていなかったんですが……』
「汐里のような女性が、なぜ見合いを?」
『あー、それそれ。俺も、美人なんだから焦る必要はないって言ったら、地雷だったようで、珍しく怒りを露わにされましたよ。美人、美人って、なんなのっ!って』

 汐里が怒る?

 そんな姿を見たことがない俺は驚いた。それよりも彼女が見合いをするということに、震天動地だ。

< 133 / 268 >

この作品をシェア

pagetop