エリート御曹司が花嫁にご指名です
 壮兄と視線がバチッと合ってしまい、気まずさでとっさに逸らしてしまった。

 会いたくないと思っていると、会ってしまうものだ。きっと私の態度で、壮兄はなにか悟ってしまったかも。

 ううん。もしかして、キスしているところを見られていたかもしれない……。

 そう考えてから、まだ鏡とリップを持っていたことに気づく。

 急いでメイクポーチにそれらをしまった。

 そうしているうちに先に優成さんが降り、壮兄となにか話して、こちらへ回ってくる。

 優成さんは助手席のドアを開けてくれた。平静を装って、助手席から離れる私だ。

「しおりん、見合い相手はどうだった?」
「どうだった?って、壮兄が桜宮専務に場所と時間を教えたんでしょう?」

 身の置きどころがなくて、つっけんどんな言い方になってしまう。

「汐里、壮二、行こう」

 促す優成さんに便乗し、私は壮兄の視線を気にしないようにして、先に玄関に向かった。



「優成くん、突然で驚いたよ。どうしたんだね?」

 リビングのソファに座ったお父さんは、思いもよらない桜宮家の長男の訪問に、驚きを隠せない。

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