エリート御曹司が花嫁にご指名です
「ああ。シスコンのお前にはつらいと思うが、汐里のことは俺に任せてくれ」

 優成さんは壮兄の気持ちを悟ってくれている。

「はい。あー、でも、しばらくは俺の前でイチャイチャはしないでくださいよ」

 壮兄はくしゃっと苦笑いを浮かべて、リビングを出ていった。

「これでシスコンを脱してくれるといいが」
「そんなにシスコン、シスコンって言わないでください。優しい兄なんですから」

 シスコンすぎると、いつも痛感していたけれど。

 優成さんはクックッと、楽しげに笑った。

「お父さん、たくさん飲ませていましたが、大丈夫ですか? 本当に代行で?」
「心配してくれるのか?」
「それはもちろんです」

 大きく頷く私だ。

「汐里の部屋に泊まるのも興味があるが、今日は壮二のためにやめておこう」
「では、代行を呼びますね」

 少し離れた床の上に置いていたハンドバッグを取りに、席を離れようとした私の手首が掴まれる。

「きゃっ!」

 引っ張られた私は、優成さんの膝の上にお尻をついていた。

「優成さん、私はスマホを取りに……」
「もう少し後でいい。その前にペナルティのキスをしてもらわないとな」

 彼の膝の上に座ってしまい、美麗な顔を見下ろす形になってしまった。優成さんの長いまつ毛や、私を映し出す黒い瞳にドキッと心臓が跳ねた。


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