エリート御曹司が花嫁にご指名です
 朝陽と結婚した砂羽さんのお手伝いで、一緒に式場を訪れたときに、『桜宮専務って、鬼畜ですよね。あ、内緒にしてくださいね』と砂羽さんに言われたことがあった。
 
 砂羽さんの言葉通りで、一度会ったばかりなのに悟った彼女は洞察力があると、あのときは笑ったものだ。

 今も鬼畜な面が出ている。

「……ここでは嫌です」

 優成さんの秘書になって六年。彼のことはわかっているつもりだ。恋愛の面ではまったく理解できていないけれど。

 だから、そう口にしても優成さんの反応が想像できる。

「なるほど。汐里は俺と駆け引きをしたいのか。素直じゃない悪い子だな」
「ここでキスなんて嫌です。優成さん、電話をかけさせてください」

 いつもの生真面目さを出せば、お役御免になるかと思っていた。

 優成さんの膝から下りようとする。だけど、ウエストに回っていた手に力が入り、一瞬で私は仰向けにさせられていた。

「さ、桜宮専務っ!」
「クッ。わざと俺を煽っているのか? ペナルティ2だぞ?」

 とっさに出てしまったことにハッとなった。

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