エリート御曹司が花嫁にご指名です
「そ、それはいきなりだったので……ペナルティ2はひどいです」

 顔の横で両手をつき、熱を帯びた瞳と視線がぶつかり、ぶるりと身体が震える。

「また君が欲しくなった」

 常套文句なのかもしれないのに、胸をキュンとさせてしまう私だ。
 
 優成さんは顔を近づけてくる。キスを予想して、ギュッと目を閉じた私の額に温かい唇が落とされた。

 え……?

 優成さんのキスは唇ではなくて、おでこだった。

「クッ。想像力がたくましいな。今は額で我慢しておく。そうじゃなければ、理性が崩壊して、ここで襲ってしまいそうだからな」

 優成さんは離れて立ち上がると、私の上体を起こす。あっけに取られているうちに、彼はポケットからスマホを出して、どこかへ電話をかけた。

 運転代行サービスへかけている。いつもは私の仕事なのに……。

 結局は、なんでもひとりでデキてしまう人なのだ。

「十分で来られるそうだ」

 普段利用している運転代行サービスは、社屋の近くにあり、ここまでもそう時間はかからない。

 お盆時期で忙しくないのかもしれない。

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