エリート御曹司が花嫁にご指名です
「からかわないでください……」

 気を取り直して、すっくとソファから立ち上がる。

「からかってなんていないぞ? これから毎日が楽しくなりそうだ。明日、両親に話をする。おそらく夕食を食べに来るように強要するはずだ。念願の嫁だからな」

 ご両親の反応を想像しているのか、優成さんは口元を緩ませた。


 優成さんは運転代行サービスの男性の運転で帰っていった。

 彼の車の後ろから、代行の男性を帰りにピックアップする車がついていく。
 
 何度も利用したことのある顔見知りのスタッフなので、私は安心して見送った。
 
 家に戻ると、リビングからハンドバッグを持って自室へ向かう。そして、事の急展開に息切れ気味の私は、ベッドの上にぐったりと腰を下ろした。
 
 本当に結婚が決まってしまうなんて、今朝起きたときには思いもよらなかった。しかもお見合い相手の白石さんではなく、憧れていた〝桜宮優成〟とだ。
 
 まだ当惑しているけれど、優成さんと子供を育てられると思うと、気持ちが弾んでくるのは否めない。
 
 念願の子供が授かるかもしれないのだ。
 
 彼の愛が得られない葛藤はあるが、いい家庭を築けるのではないかと思う。

 迷う心に、もうひとりの自分が言い聞かせて、この結婚を納得させようとしていた。

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