エリート御曹司が花嫁にご指名です
「今度うちのホームページをリニューアルするんだけど、本当のモデルを使うと馬に慣れていないから、違和感あるし。私が妊娠中じゃなかったらやるんだけど。汐里だったら、完璧なの! ね? お願いっ」
「お願いって……モデルなんてやったことないし……」
「大丈夫! 大丈夫! 汐里は立っているだけで気品があふれているし、絶対に素敵なホームページになると確信しているの。忙しいと思うけど、お願いっ!」

 珠理奈は顔の前で両手をピタッと合わせて、頼みのポーズをする。

「……珠理奈」

 寝耳に水の依頼に困惑しながらも、今までの自分を変えたいと望んでいたことを思い出す。

 私の返事をもどかしそうに待っている彼女だ。

「わかったわ。うまくできるかわからないけれど、やってみる」
「うわっ、やったわ! 早速お父さんに知らせなきゃ。今日来てくれてありがとう。連絡しようと思っていたところなの」

 二ツ木乗馬クラブのオーナーは珠理奈の父親で、乗馬協会の理事に名を連ねている。

「今、エリザベスを用意させるわね」

 珠理奈はカウンターの中へ戻り、受話器を上げ、スタッフに私が慣れ親しんでいるエリザベスという十三歳の牝馬(ひんば)を準備させるように告げている。
 
 指で『OK』を作って私に見せる珠理奈に頷くと、サロンから馬場(うまば)へ出るドアへ向かった。


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