エリート御曹司が花嫁にご指名です
 室内アリーナの出入口でヘルメットを装着して、軽く準備運動をしていると、白馬がスタッフに連れられてきた。

「ベス」

 私は数メートル先にいるエリザベスを呼ぶ。すると、エリザベスの歩調が少し速くなり、すぐ近くで足を止めた。

「ベス、久しぶりね。今日はよろしくね」

 彼女の鼻や頬を撫で、首の辺りをポンポンと叩く。するとエリザベスは嬉しそうに私のほうへ顔を摺(す)り寄せてくる。

 彼女とは、このクラブに十年前にやってきたときからの付き合いだ。

 高校生から大学生の頃は、毎日ブラッシングをさせてもらうほど、私はエリザベスに夢中だった。
 
 社会人になってしまい、会いに来る回数は少なくなったけれど、私たちの信頼関係は損なわれていないと信じている。
 
 現に、エリザベスはとても嬉しそうに見える。
 
 私は彼女の背に騎乗し、土が敷かれたアリーナへ誘導した。
 
 ゆったりと常歩し、エリザベスの状態を確認しながら、速歩から駆歩へと移行していった。


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