エリート御曹司が花嫁にご指名です
 無邪気なリサちゃんのおかげで、ずっとなかった食欲が少し戻ったようだ。けれど、「もうそれだけ?」と華さんは不満げだ。

「フルーツをいただきます。美味しそうなグレープフルーツ」

 私はカットされたみずみずしいグレープフルーツを口にする。

「シアトルに来てくれて嬉しかったわ」

 ふと漏らされた華さんの温かい言葉に、私は泣きそうになりながら小さく微笑む。

「ここしか思い浮かばなかったんです」

 そう言うと、華さんはふふっと笑った。

「本当に? シアトルに来たのに、私に連絡してこなかったじゃない。会わずに帰国する気じゃなかったの?」

 やんわりとこぼされた嫌味に、私の本心はどうだったのだろうかと考える。

 そして、私は首を左右に振った。

「いいえ。華さんに会いたかったんです。だから、連絡していたはずです」
「思慮深く、周りに心配をかけないような性格のあなたが黙って来たのだから、よほどの悩みがあったのね……」

 華さんは、椅子に座ったまま今にも眠ってしまいそうなリサちゃんを、自分の膝の上に乗せた。

 向かい合わせに抱っこをして、小さな背中をトントンと優しく叩いている。

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