エリート御曹司が花嫁にご指名です
 家族の美しさに、『ほーっ』とため息が出そうになる。

《リーは私たちの宝物だよ。シオリ、早くリーの従妹弟たちを作ってくれ》

 その言葉に、病院で優成さんが『パパ』と呼ばれていたことを思い出して、気持ちが沈みそうになった。

 ダメダメ、今は考えないようにしなきゃ。

 暗い雰囲気にならないように、努めて明るい笑顔を浮かべた。

《シオリとユウセイはお似合いだと、ずっと思っていたんだよ。だから結婚の知らせはとても嬉しかった。アサヒも素敵な女性と結婚して、サクラミヤ家は福に恵まれているとね》

 ハワードさんは三十七歳で、華さんとは四歳違い。優成さんよりも年上であることから、立場は義弟であっても呼び捨てにしている。

 仕事上でもシモンズ社の次期CEOとは関わりがあり、ふたりは仲がいい。
 
 シモンズ社の実権を握っているハワードさんは来年、祖父から職位を引き継ぎ、CEOとなる。

《ハワード、結婚前にはいろいろナイーブになるのよ》

 私の様子をいち早く察した華さんは、ハワードさんの傍らに立つ。自然に彼の腕が華さんの腰に回り、人前だというのに頬やこめかみにキスを落とす。

 その姿は映画を観ているかのように素敵で、羨ましくなった私だった。

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