エリート御曹司が花嫁にご指名です
 濡れナプキンで手を拭き、優成さんは早速コーヒーを口にする。

 別のメイドはスクランブルエッグやウインナー、ベーコンエッグなどが載った皿を置いていく。行き届いたタイミングから、華さんが前もって指示していたのだろうと推測した。

「どうぞ、ゆっくり食べて」

 籠に入ったパンを差し出され、私はひとつ手にして口元へ持っていく。その途端、胃から込み上げてくる不快感に、パンを皿の上に置いて、急いで立ち上がった。

「どうした?」

 優成さんが見上げているけれど、返事ができず首だけフルフルと横に動かし、席を離れた。

 ガタンと音をさせて、優成さんが立ち上がった様子だった。続いて華さんの「私が行くわ」という声が、レストルームに駆け込む私に届く。

 込み上げてくるものを抑えられずに、私はトイレで嘔吐した。

「汐里? 大丈夫? 気分が悪いのね?」

 個室の外から聞こえる華さんの心配そうな声がけに、吐いて少し落ち着いた私は口を開く。

「だ……いじょう……ぶです。パンの匂いを嗅いだら……」
「それって……」

 個室の向こうで華さんが一瞬黙り込む。

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