エリート御曹司が花嫁にご指名です
「汐里、妊娠したのかもしれないわよ。私、判定キットを持っているから、ちょっと待ってて」
 
 パタパタといなくなる気配を感じながら、私は平らな腹部に手を置いた。
 
 赤ちゃんができたの……?
 
 前回の月のものがいつだったのか思い出そうとしてみるも、気持ちがじわりと高揚してきて、冷静に考えられない。
 
 わかることは、ここのところ月のものはなかったということだけ。

「汐里、持ってきたわよ」

 個室のドアを開けて、差し出された妊娠判定キットを受け取った。

「すみません。ありがとうございます」
「妊娠していたらいいわね。向こうで待っているから。ゆっくりでいいからね」

 華さんはにっこり笑って去っていった。


 数分後、私は妊娠判定キットの二本線に茫然となったのち、嬉しさが込み上げてきた。

 本当に、私は優成さんとの赤ちゃんを妊娠したの?

 妊娠判定キットを百パーセント信じるわけにはいかないけれど、ここのところの食欲や気持ちの浮き沈み、そして吐き気が、真実だと答えてくれているようだった。

 レストルームを出たところで、優成さんが壁に背をもたせかけて待っていた。

「汐里。華が、妊娠したかもと言っていたが?」

 心配げな優成さんに、満面の笑みで答える。

< 263 / 268 >

この作品をシェア

pagetop