エリート御曹司が花嫁にご指名です
 撮影は十五時までかかり、無事に終了した。

 乗馬服からノースリーブのワンピースに着替えた私は、珠理奈と乗馬クラブ近くのイタリアンレストランで早い夕食をとることにした。
 
 陽に当たりすぎたのか、頭痛がしていたけれど、珠理奈と久しぶりの時間を過ごすほうを選んだ。
 
 おしゃれなイタリアンレストランの広い店内は、夕食にはまだ早いせいで、数人のお客さましかいない。

「かんぱーい」

 私たちはグレープフルーツジュースで乾杯した。

「汐里。お疲れさま! 本当に助かったわ。でき上がりが楽しみよ」
「珠理奈も一日中いて、疲れていない? お腹は大丈夫?」

 お腹が大きい彼女は、母親という自覚が出てきたのか、どっしり構えているみたいに見える。

 私も、妊娠したら珠理奈みたいになれる?

「大丈夫、大丈夫。お父さんも満足していたわ。モデル料は弾むって」

 そう言って、珠理奈はシーザーサラダをパクッと口へ入れる。

「モデル料? 聞いていないわ。いらないからね。乗馬服をたくさんいただいちゃったし」
「それとこれとは別よ。といっても、すごい金額じゃないから期待しちゃダメよ。謝礼程度だから。ねえ、それよりも本当に会社を辞めるの?」

 私は今日の打ち合わせの電話をもらった際、退職すると珠理奈に伝えていた。

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