エリート御曹司が花嫁にご指名です
 リビングダイニングでは、お母さんが三人分のベーコンエッグとサラダを用意していた。

「お母さん、おはよう」
「おはよう。体調はよくなったの?」
 
 テーブルでオレンジジュースをグラスに注いでいたお母さんは、手を止めた。

「まあまあ。久しぶりに長い時間、馬に乗っていたから足が痛いけど」
「もういつまでも若くないのよ。出産だって早いほうがいいんだから」

 苦笑いを浮かべる私に、追い打ちをかけるようなことを言われて、ため息が漏れそうになった。

 退職のことはまだ話していなかったから、お母さんとしてはもどかしいのだろう。

「それくらいわかっているから。お父さん、お見合いのことはなにか言っていた?」
「汐里が気に入りそうな人を喜んで探しているわよ」

 そこへ、ワイシャツにスラックスを身につけたお父さんが姿を見せた。

「ん……壮兄は?」
「壮二は夜中に呼び出しがあってな」

 夜中に患者さんに緊急事態があったのだろう。医師はつくづく大変な仕事だと思う。

 とりあえず、壮兄の体調チェックをされずに済むのはよかった。少しの熱でも仕事に行くなと言うはずだから。


 いつもよりも十五分ほど早めに出社し、IDカードで専務室に入室した私は、ギクッと足を止めた。

 
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