エリート御曹司が花嫁にご指名です
「美人、美人って、だからって、なんなのっ? 美人は関係ないの。結婚できる確約がどこにあるの? もう放っておいて」

 こんな言い方、壮兄に投げつけたことはない。自分でも制御できない苛立ちが込み上げてくるのだ。

「とにかく、これからは婚活に集中しますから」

 ドアを勢いよく引いて、自室へ入ると鍵をかけた。

 どうしてこんなにイライラしちゃうの……?

 シャンパンのせいではなく、ないものねだりをしている自分のせいだ。

 壮兄、ごめんなさい……。

 ベッドの端に腰を下ろして、気持ちを落ち着かせるために、明後日のお見合いのことだけを考える。

 実際、お見合いに二の足を踏んでしまう気持ちではある。白石さんの写真を見ても、一緒に食事をしたり、出かけたり、そんな想像は少しもできない。

 でも、この単調な生活を変えなければ……そんな思いで気持ちを奮い立たせるしかなかった。


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