エリート御曹司が花嫁にご指名です
「どうして朝陽さんが出てくるんですか?」
「君たちはずっと仲がよかった。朝陽が結婚して、自棄になっているんじゃないのか?」

 まったくのお門違いだ。桜宮専務は、私が朝陽さんを好きだと思っていたの……?

「朝陽さんは素敵な人ですが、愛していません。変な考えをするのはやめてください。幸せな結婚をして、心の底から羨ましいと思うだけです」
「だが、タイミングがよすぎるだろう?」
「それは、おふたりの結婚式をお手伝いして、私に焦る気持ちが生まれたんです。赤ちゃんが欲しいんです! それには夫を見つけなければならないんです!」

 変な誤解をされて、思わず自分の気持ちを吐露してしまった。暑いせいもあるけれど、変な汗が背中をツーッと流れていく。

「結論から言うと、汐里が欲しいのは赤ん坊なんだな」
「……そうです。でも、私を愛してくれる人がいるかもしれません」
「愛してくれる人が現れても、汐里がその人を愛せる確証はないんじゃないか? そんな結婚をして幸せになれるのか?」

 恥を忍んで認めた私に、桜宮専務はたたみかけてくる。

「では、桜宮専務が赤ちゃんを授けてくれますか?」

 売り言葉に買い言葉。私は自分の口から出た言葉に唖然となった。

 桜宮専務も口をポカンと開いたまま見つめるばかりで、私は穴があったら入りたい心境に陥った。

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