俺と、甘いキスを。
微かに口角を上げた、大きな瞳の横顔。
安心できるような、癒されるような、その微笑みに。
無意識に見蕩れていた俺がいた。
その後、彼女は自分の手にある封筒を見てハッとして慌てて走っていった。しかしあの顔だけは気がつくと何度も思い出されて、忘れることはなかった。
この話を聞いた花は、恥ずかしそうに顔を赤らめた。
「あの桜は、毎年見事に咲いてくれるんです。満開の時はお花見をしたり、ベンチでお昼を食べたり。右京さんも何度かお花見に参加しましたよね?」
確かに「花見」という名目の飲み会に何度か誘われ、参加したことはあった。
「合コンのような盛り上がりの飲み会の時は、正直うんざりしたけどな」
と、俺は苦笑する。
「右京さんはモテますからね」
花も同情するように笑った。
「でも、いくらいろんな女から声をかけられても、本命にモテなきゃ意味が無い」
そう言った俺に、彼女がキョロっと目を丸くして視線を逸らす。
そんな顔をされると、ますます自分のものにしたくなる。
俺は腕を伸ばして、花の頭をゆっくりと撫でた。
「さて、俺の十年前の謎は解けたよな?今日はいくつ謎解きをしようか」
タイムリミットまで、時間がない。