俺と、甘いキスを。
まるで、俺は母親に駄々をこねる子供のようだった。
「右京さん」
彼女の声で、俺は体を少し離してその小さな両肩に手を乗せた。
「十年前から、俺の心はお前のものだった。これからも、そう誓える。しかし調査の結果次第で、俺はマリエと離れることができない。花、お前に聞いておきたいことがある。大事なことだ」
と、花を傍に置いておきたいための僅かな望みを問う。
「今、花は俺を、どう思っている?研究所で「好きだ」と言ったこと、今でも変わらないか」
花は顔を赤らめて、大きな瞳をゆらりと揺らした。
「右京さん」と言う、小さな口元を見つめる。
「本心が知りたい。ごまかすな」
と、困った顔をする花の耳元に囁いた。
ピクリと肩を震わせ、花はふるふると首を横に振った。
「……ずっと好きな人を、すぐに嫌いになれるわけっ」
「じゃあ、好きか」
俺は瞳を泳がす彼女の顎に、そっと指を添える。
「花?」
「……好き」
少し誘導させてしまった気もしたが、潤う瞳で見上げてくる花が愛しくて仕方がない。
俺は、最後の確認をした。
「俺と一緒に、地獄に落ちる気はあるか」
その大きな瞳がパッと開き、驚いた顔をした。
「それは……」
震える唇を動かす。