俺と、甘いキスを。
俺は小さく頷いた。
「俺が離婚しない限り、そういう関係になるだろう。マリエと夫婦のままで、花は柴本課長と見合いをして結婚するかもしれない」
重なる視線が、熱を帯びて絡み合う。
「それでも、お前と一緒にいたい。絶対誰にも言えない関係に、花を苦しめることになる。その時は、俺も一緒に背負うと約束する。お前だけを泣かせることは、絶対にしない」
「右京さん……」
花の目尻が下がっていく。
俺は顎に添えた手を離して、もう一度、花をしっかりと抱きしめた。
決して不安にさせないように。
「俺を、信じて」
やっと。やっと、花が俺のものになる。
例えそれが人の道に外れていても。
軽蔑されることになっても。
俺たちのこれからが、茨の道だとしても。
もう、引き返す考えなど持ち合わせていなかった。
「愛してる」
やっと言えた言葉と同時に、花の唇に噛みついた。花はびっくりして体を揺らしたが、強く抱きしめて頭を支えた。
彼女の唇を甘く味わう。キスを必死に受け止めようとして俺の背中に手を回す花が余計に可愛くて、早く花の全てを手に入れたいと思ってしまう。
柔らかい唇を割って口内を撫でていく。
「んっ……」
小さく呻く彼女の歯列をゆっくりとなぞっていく。お互いを確かめるように、優しく舌を絡め合う。
「はな……はな……」
艶かしいリップ音を何度も立てて、唇が腫れてしまうと思うくらいに。
まだ足りない、まだ足りないと、花を抱きしめたまま深いキスを続けた。
それは縁側から見える星たちから隠れるように、障子に遮られた狭い空間で愛を確かめるように。