俺と、甘いキスを。
テーブルの上に何十枚という写真が広がっている。そのどれもが柴本貴臣が若い女の子たちと一緒にいるものだった。路上で女の子とキスを交わし、車の中で他の女の子と抱き合ったり、数人の女の子たちとクラブの店へ肩を寄せて入っていくものだったり。お店の中では何人も女の子とのキスや体に触れている写真もたくさんあった。
向かいのテーブルでは、写真を見た柴本貴臣の母がかなりのショックを受けたのか「ひぃっ!」と、悲鳴を上げて椅子の背もたれへ倒れて白目を向いて気絶してしまった。
貝塚部長が「奥様、大丈夫ですかっ」と、クタッとなった彼女を落ちないように慌てて支える。
テーブルに散らばった写真を掻き集めながら、柴本貴臣は恨むような目で右京誠司を睨んだ。
「右京専務。これはいくら何でも人を傷つけるにも限度があるでしょう。それもお見合いという席で、こんなありもしない合成写真をばら撒いて。あなたの弟も彼女を随分とお気に入りのようですが、まさかこの縁談をブチ壊して彼女を蒼士くんの愛人にでもするつもりですか。とんだ兄弟愛だ」
と、恐ろしい鬼のような微笑みだ。
私は私で、「愛人」というワードにビクビクして、心臓がドキドキしっぱなしだ。
右京誠司の吹雪がやって来そうな氷の微笑みも負けていない。写真の中の一枚を柴本貴臣に見えるように持ち上げた。
「この女の子、ユウナちゃんって名前。知ってるよね?この子、柴本くんの彼女なんだってね。いろいろ教えてくれたよ」