俺と、甘いキスを。
柴本貴臣の一番彼女のユウナちゃんの話は、まだ続く。
『で、あたし今、高校生なのよ。だからタカくんが言ったの。「今は周りがうるさいから仕方なく鈍感そうな女と一度結婚するけど、恋人のユウナが未成年ということを隠す意味での結婚だ。ユウナとは今までどおりだ」って。あたしが二十歳になったら、女と離婚してあたしと結婚するって言ってくれたの』
『柴本貴臣が?』
『そう。オオトリ電機総務部の柴本貴臣が』
ボイスレコーダーの再生は、ここで途切れた。
私は母と顔を見合せ、柴本貴臣を見る。
釣書の彼の年齢は、たしか三十五歳だったはず。十九も年の離れた高校生と付き合うための隠れ蓑として、私を一度妻として迎えるつもりだったのか。四年経ったら離婚という、期限付きの結婚を計画していたとは。
すると、柴本貴臣が両手の自由を奪われたまま「ふふふ」と笑い出す。
「そんなボイスレコーダーになんの意味がある?それも右京専務が俺を陥れようと偽造したものじゃないのか?どうせそこらの女の子に協力してもらって言わせたものなんだろ?どれも全部でっち上げだっ!」
と、顔を赤くして目を吊り上げる。
右京誠司は涼しく口角を上げたまま、スマホを持ち変えた。
「そう?じゃあ、本人に聞いてみようか」
と、躊躇なく画面をタップした。