俺と、甘いキスを。
「右京さん……」
「それとも、あのままアイツのいいように流されて結婚した方がよかったか?」
と、彼は意地悪は笑みを浮かべた。
「もうっ」
すっかり自惚れてしまった私は、嬉しくて彼に両手を伸ばす。その手は彼の首の後ろへと抱きしめると同時に、彼の両手は私の腰の後ろへ伸びて抱き寄せて立ち上がった。
「どっち?」
鼻が触れるくらいの顔の近さで、返事を強請る右京蒼士。
その整った美顔を前に、私の口は自然と開く。
「結婚、したくなかった」
「だよな」
当然とばかりに言って、触れるだけのキスをしてくれる。
そっと唇が離れて、
「マリエとの離婚は、自分のけじめをつけるため。そして、絶対に花を離さないという誓い」
と、優しい瞳で話してくれる。
「右京さん」
「花はもう、誰にも渡さない。花のお父さんにも言っておいた」
「何を?」
抱きしめられたまま首を傾げる私に、右京蒼士はククッと笑った。
「娘を返してくれ、と言われても絶対に返しませんのでご了承ください、って。お父さんは笑って「返されても困る」と言っていたよ」
「ええっ?そんな話までしたの?」
──彼のと間で、まだ結婚の話さえしていないのに。
ただ目を丸くする私に、彼は笑みを浮かべたままだ。
「俺の気持ちを先に言っておいた方が、花に見合いの話が来なくなると思ったから」
「花は、俺と結婚するんだから」
そう言って、私を抱きしめる腕に力を入れた。