雪の訪問者
何故、そんな彼女が、僕の前に?

アイドルだから、僕は当然、彼女の名前を知っている

でも彼女は?僕を知っているのか?

文学少年くん?

理由なんかわからず、僕は彼女の問いに、機械的に答えた

「ああ、それ、私も読んだよ。面白かったなあ!」

世紀末の街角で、同士を見つけたかのように、彼女は笑顔で答えた

彼女も同じ小説を読んでいる

その事実が、僕を少しだけ高揚させた

同じ小説を読んでいると言う、二人の共通項

僕たちは、小説や、好きな作家の話題を語り合った

もちろん、雄弁な彼女が、会話をリードして

無口な僕は、相槌をうつ程度だったけど

…その後も、時々、その一方的かつ不思議な関係は続いた

放課後の、誰もいない教室で

本の世界に没頭している僕に、彼女は唐突に話しかけて
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