俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
焦る必要はなかったかと思いかけたアリスだが、今日の指導役は、従騎士ひとりを馬から下ろし、グレンに手綱を渡していた。

「こいつは足が遅い馬だろ。まぁ、見習い程度に馬を選ぶ必要はないか。木剣もよこせ」

横暴な言い方ができるのは、グレンの方が階級が高いからだ。

どうやら指導役の正騎士には、止められないようである。

(逃げられないみたい……)

グレンの指示で騎士たちは訓練を中断し、障害物を隅に寄せた。

アリスは渡された木剣を手に、眉間に皺を寄せた騎士団長の顔を思い浮かべている。

(また勝手なことをしたと怒られる。困ったな……。でも、どうせやらなきゃいけないのなら、グレンさんに勝つつもりで思いきり戦いたい。正騎士との試合なんて滅多にない機会だもの。ありがたいと思おう)

アリスは元来、前向きな性格で、向こう見ずなところもある。

一度、戦うと決めたら気合が入り、胸がワクワクと高鳴った。

試合と言っても、反則技などの規定はなく、どちらかが落馬するか降参するまで続く。

広い訓練場の中央に馬を進めたアリスは、グレンと向かい合う。

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