俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
(ど、どうしよう。テーブルがめちゃくちゃだ……)

グレンの剣を地面に落とし、クリームまみれの顔を恐る恐る上げると……樽乗りした時以上の歓声が沸いた。

「なんと勇敢な少年騎士なんだ!」

「君は英雄だ!」

周囲の青年貴族たちが口々にアリスを褒め称え、急に賑やかになる。

助けた令嬢にはレースのハンカチで顔を拭かれ、頬を染めてお礼を言われる。

「命を助けていただきました。ありがとうございます。頼もしい騎士様、後ほど、お礼をさせてくださいませ」

「いえ、その、僕は騎士として当然のことをしたまでで……」

コックス村にいたなら、お目にかかることのなかった高貴な血筋の方々だ。

貴族たちに取り囲まれ、二度も拍手喝采を浴びて、アリスは頬を掻きつつ照れる。

(こんなに褒められたことないから、恥ずかしい……)

けれども、のんきに喜んではいられない。

拍手がやむと、王太子の厳しい声が耳に届き、アリスは振り向いた。

王太子は、樽の横で片膝をついているグレンを怒鳴りつけている。

招待客に剣を投げつけるとは何事か、お茶会が台無しだと叱っているようだ。

(どうしよう……)

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