俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
誰かに話しかけているような雰囲気だが……。

アリスの鼓動が急加速し、体が震えだす。

呼吸の仕方がわからなくなるほどに、信じがたい期待が湧き上がった。

(まさか……でも、他の人の可能性も……だけどここは、ロイ騎士団長の部屋で……)

ノックもせずに勢いよくドアを開けて飛び込めば、部屋の中央よりやや右側の、窓際に置かれたベッドに、上半身が裸の騎士団長が腰かけていた。

医師長がその傍らで手当てをしている。

腕や胸に包帯が巻かれ、手の甲や頬にも刀傷があり痛々しい姿だが、表情は穏やかだ。

アリスは目を見開いたまま、なにも言葉が出てこない。

鼓動も止まってしまったかのように静かである。

騎士団長がこっちを見て、微笑んだ。

(ロイ騎士団長が、いる……)

アリスは膝から崩れ落ちて、泣くこともできずに放心している。

「フラン、もう充分だ。ありがとう」

「ああ、出て行けってことね。はいはい。邪魔者は退散するよ。けど、これだけは守って。今夜はなるべく動かないこと。傷口が開くよ」

医師長は暖炉に太い薪を一本追加してから、治療道具を入れた木箱を抱え、ドアへ向かう。

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