俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
騎士団長はアリスを抱えたまま、どのようにして帰還したのかを話してくれた。

アリスと王太子が無事に関所を通過するまで、襲い掛かる敵勢に立ち向かっていたが、その後は迷わず川に飛び込んだ。

五十人以上を相手に、いつまでも持ちこたえられるものではない。

川を泳いで渡った方が、生き延びる確率は高いと踏んだのだ。

アリスは驚いて、涙の勢いが弱まる。

「冷たい川を……あんなに距離があるのに……」

もうすぐ十二月で、いつ雪が降ってもおかしくない気温である。

日没後の川の水は氷のように冷たいはずだ。

しかもライル川は、川幅が一キロメートルほどもある大河で、水深は深く、途中に休める中洲もない。

傷だらけの体で泳ぎ切ったとは、信じられない身体能力と精神力である。

「必死だった。アリスの顔をもう一度見たいと、それだけを思っていた。お前という存在がなければ、殿下を救出したことに満足し、自分の命は諦めていたかもしれない」

「ロイ騎士団長……」

屈強な他の騎士たちに比べ、非力な自分を情けなく思う時もあったアリスだが、そう言ってもらえたことで自信が膨らむような気がしていた。

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