俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
喜んだのはそれだけではない。

アリスの頬を撫でながら教えてくれたのは、おとりとなってくれたパトリックたちの無事である。

「捕虜となってしまったが、明日には戻ってこられる」

「本当ですか!?」

つい一時間ほど前に、マレイン王国側から“客人たち”を無条件で帰したいという申し出があったそうだ。

マレイン王国はその理由を言わないが、バルムンド帝国側の情勢が変わりそうなことが影響していると思われる。

バルムンド帝国は先代の皇帝が逝去した後、弟が帝位を継いだが、先代皇帝には皇太子である息子がひとりいた。

本来ならば息子が帝位に就くはずなのだが、まだ八歳と幼いことを理由に、現皇帝が半ば強引に帝位を奪ったそうだ。

そのようなやり口では、内部に不満を覚える者も少なからずいる。

周辺国に敵対の姿勢を取るようになったことも、内部の者たちの反感を買った理由と思われる。

そして今日、バルムンド帝国内で、幼い皇太子を担ぎあげての内紛が勃発したそうだ。

この先、バルムンド帝国の現皇帝が帝位を守れるのかはわからない。

となると、密かに協定を結んでいたマレイン王国に、迷いが生じる。

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