俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
そのようなことからアリスは合格に自信を持っていたのだが、この結果はどうしてなのか。

不合格を言い渡された男たちが肩を落として訓練場から出ていく中、アリスはその列に加わらず、騎士団長に駆け寄った。

「どうして僕が不合格なんですか!?」

逞しいその背に向けて抗議すれば、体を半分アリスの方に向けた騎士団長に横目で見られる。

「体格と筋力不足だ」

なんとも的を射た端的な返しをされ、アリスは唇を噛む。

その点は女だから仕方ないでしょうと言うことができず、悔しく思うばかりだ。

「そう落ち込むな。お前はまだ子供だろ。また来年、もう少し成長してから試験を受けに来ればいい」

最後は慰めるような言葉で会話を終わらせた騎士団長は、アリスに背を向けて、合格者の方へ行こうとしている。

(私は十八歳よ。これ以上背は高くならないし、また来年なんてない。今回、入団できなければ、デイブの嫁になるか、野垂れ死ぬかのどちらかなんだから)

口には出せない反論を心で叫んだアリスは、希望の光を消されるまいとして、騎士団長の足に飛びついた。

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