俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
入団試験の時は頼りがいのありそうな素敵な上官に思えたけれど、今は疑心が芽生えている。

(私だけ筋力トレーニングばかりで、剣を握らせてくれないし、馬にも乗れない。もちろん任務にも同行させてくれないわ。これって、ひょっとして……)

これは虐めなのではないかと、アリスは考える。

アリスにだけつらく苦しい訓練を課して、自分から退団したいと言わせる気ではあるまいか。

そのような不信感が芽生えたが、心に広がる前に首を横に振って打ち消した。

(それは考えすぎ。そのうちきっと、みんなと同じメニューをやらせてもらえる。デイブの嫁になるのと比べたら、このくらいのしごきは平気よ……)

「文句はありません。すみませんでした」

謝罪したアリスは、限界を超えている腕に力を込め、歯を食いしばって腕立て伏せを再開させる。

ところが、グレンに舌打ちされた。

指示に従い根性を見せたというのに、グレンはなぜか面白くない顔をして、「泣かねぇのかよ」と呟いた。

「おい見習い、腕立て腹筋、背筋、スクワット、百回ずつ追加だ」

「うげっ……」

頑張ろうと立て直したばかりの気持ちが、また折れる。

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