俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
近づいてきた騎士団長に向け、騎士たちは一斉に敬礼の姿勢を取り、服従の意思を示している。

訓練を続けるようにと指示し、ひとりひとりの様子に厳しい視線を向けている騎士団長の横顔を見ながら、アリスは鼻の付け根に思いっきり皺を寄せた。

(さっきは優しいと思ってしまったけど、二度と騙されない。ロイ騎士団長は、鬼だっぺ!)

憤懣やるかたない思いを筋肉痛の足に込め、アリスは全速力で走りだす。

そのスピードに驚いて、素振り中の剣を止めた騎士が、「ちびっこは元気いっぱいだな」と笑っていた。


それから二時間ほどが経ち、追加の三十周を走り終え、指導役の騎士の監督下で腹筋をしていたら、「アリュース君」と声をかけられた。

横に立っているのは、騎士服の上に白衣を羽織った青年である。

彼は騎士団所属の医師長で、フランシス・ハミルトン、二十八歳だ。

入団試験の時に、小柄で華奢なアリスを心配し、年齢を尋ねてきた人でもある。

柔らかそうなブロンドの髪は夏の日差しに輝き、眼鏡の奥の青い瞳と唇が弧を描いている。

騎士団長とはまた違ったタイプの美男子である。

< 37 / 228 >

この作品をシェア

pagetop