俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
苦しげに呻いたコズメルは、恨み言を吐く余裕もなく、地面に崩れ落ちた。

「殺しはしない。貴様には残党や他のアジトについて尋問せねばならないからな」

その厳しい言葉は、おそらくコズメルの耳に入っていないことだろう。

地面に伏せたままピクリともせず、どうやら気を失っているようだ。

アリスも動けず仰向けに倒れたまま、ぼんやりとしている。

(あっという間に親玉をやっつけた。聞きしに勝る強さ……)

そう思った後は安心からか、黒い騎士服の背中が三重にぼやけ、急速に意識が遠のいていく。

三メートルほど離れた場所にいる騎士団長が、険しい顔をしてアリスに振り向いた。

「アリュース、お前は実戦にはまだ早い。笛を吹いて知らせろと言ったのに、お前は……」

叱責の言葉は、耳に入っても聞こえていないのと同じである。

なにも考えられず、返事もできないアリスに、騎士団長が足早に近づいた。

「おい、頭を打ったのか?」

一歩の距離で足を止めた騎士団長は、なぜか目を見開いて固まっている。

「お前……だったのか……」

絞り出すような驚きの声も、アリスの耳には届かない。

(今、なんて……?)

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