俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
(でも、うさぎの盗賊ってなにするの? 農家の畑から、にんじんやキャベツを盗むのかな……)

夜な夜な畑に繰り出すうさぎの盗賊団と、困り顔の農夫を想像していたら、黒うさぎが切り株から立ち上がった。

チラリとアリスを見たが、なんの反応もなく、「気づかせないでくれよ」と白うさぎに言う。

「わかってる。お前が全て知った上で許してると気づかれたら、この子、気を抜いて、他の者たちの前でもボロを出しそうだからね。知らぬふりをした方がいいと俺も思う」

「ああ。後は頼んだ」

黒うさぎはぴょんぴょんと跳ねて、森の奥へ消えていった。

(詳しい事情はわからないけど、雌うさぎが追い出されなくてよかった。黒うさぎは頼もしくて素敵だ。もし私がうさぎなら、好きなってしまいそう……)

アリスは二度目のあくびをした。

意識がまた混沌として、森も白うさぎも見えなくなり、夢さえない深い眠りに落ちていった。


ハッとアリスが目を覚ましたのは、夕暮れ時になってからだ。

どうやらここは森の中ではなく、騎士団の詰所内にある医務室のようで、清潔なベッドの周囲には白い布を張ったついたてが置かれていた。

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