如月くんは私をひとりじめしたい

街に出てみると、大勢の人で賑わっていた。

家族や友達で来ている人もいたが、やはり多いのはカップルだった。

きっと去年の今頃は家でまったり過ごして家族でクリスマスケーキでも食べてたのかな。

そう思うとあの頃が懐かしい。

でも、けして戻りたいとは思わない。

いつも同じことの繰り返しで華が無かった私の地味な人生は如月くんと出会って本当に華やかになったと思う。

何度も何度も思う。

如月くん(このひと)と出会って本当によかったと。


「まだ人が少なくていいね」

「うん。時間的にも結構早いからね」


人が多く集まるのは大体8時。

丁度その時刻に大きなクリスマスツリーの星が電灯されるからだ。

そこでキスをする、というのはいかにも少女マンガらしいが、それ目的のカップルも少なくはない。

だからその時間には行きたくないと如月くんにお願いしたのだ。

やはり周りにキスしているカップルが大量にいると何だか恥ずかしいし、こっちが気まずくなってしまうようで。
< 198 / 226 >

この作品をシェア

pagetop