となりのオオカミくん
「…っ、ごめん。」
突然一ノ瀬くんの声が聞こえて、目を開けると一ノ瀬くんは優しく微笑んでいた。
「綾川さん、俺は大丈夫だから。早くお家に帰りな?」
そう言って一ノ瀬くんは私の肩をそっと抱えてベッドからおろしてくれる。
「あ、そうだー。綾川さん、今日の夕飯も作ってくれるよね?」
「あ、う、うん……」
「やったぁ。今日は何かなぁ。楽しみだなぁ」
にこにこと笑いながら一ノ瀬くんはTシャツとスウェットを着始めた。
なんか……、切り替えがすごいな…。
未だあの空気から抜け出せていない私は、なんだか脳みそがふわふわしていてぼーっとしている。
一ノ瀬くんのあの妖艶な笑みが頭から離れなくて。
ずっと心臓はどくどくと脈打ったままだ。
そんなこんなしているうちに一ノ瀬くんは服を着終わって、「はいはい、綾川さんちにしゅっぱーつ」なんて言いながら私の背中をぐいぐいと押す。
ほんとに困った隣人さんだよ……。
そんなことを思いながらも、私は一ノ瀬くんと共に自分の家に帰った。