愛溺〜番外編集〜
「ゼリーかヨーグルトか、果物もあるんだ。
どれが良い?」
「……ゼリー食べたい」
「わかった。じゃあ準備するから愛佳は…」
ベッドで横になって。
続けてそう言おうとしたけれど、彼女は途端に抱きつく力を強めてきた。
離さないぞという意思表示だ。
本当にかわいい。
なんだ、このかわいい生き物は。
「本当に無理してない?」
「……うん」
このまま無理矢理ベッドで寝かせても、刺激にしかならないだろう。
ここは諦めて彼女の好きなようにさせる。
なるべく早く準備を済ませたところで、ベッドに向かう。
俺が隣にいればそれで良いのか、大人しくベッドの中に入った。
上体を起こしたままの愛佳に、ゼリーを差し出す。
「はい、これがゼリーとスプーンで…」
「……」
けれど彼女はそれを受け取らず、フイッと顔を背けてしまう。
何やら嫌な予感がする。
「本当はゼリー、嫌だった?
それなら…」
「涼介が食べさせて…そしたら私、食べる」
痺れを切らした愛佳がついに求めてきた。
潤んだ瞳は本当に反則だ。
「……うん、じゃあ食べよう」
それでも俺は平然なフリをする。
本当は今すぐ彼女を押し倒したい衝動に駆られているのだから危険だ。
愛佳は俺の袖を掴み、大人しくゼリーを食べてくれたけれど。
一難去ってまた一難。
薬をと水を取りに行こうとするだけで、彼女は大胆にも俺に抱きついてきたのだ。
「愛佳、薬を取ってくるだけだから」
「嫌だ!絶対に嫌だ…」
相当熱で弱っているのか、愛佳の目には涙が浮かび、今にも溢れてしまいそうだ。