恋泥棒の犯行予告
不破島くんのおじいさんの家は、あたりに畑と田んぼに囲まれた場所のど真ん中にあった。
「ここらは猪と鹿がよく出るから、見かけたらソッコーで逃げること、いいな? あいつら相手に勝てんのなんか猟友会の銃持ったおっさんたちだけだ」
何やら物騒な話だな。
地元じゃ考えられないことだけど、この緑の量なら納得いく。
「じーちゃーん。来たぞー。あとすまん、最初に言ってたのから1人増えたけど気にすんな」
玄関でそう大声で叫んだ不破島くん。
少しして、奥のほうから麦わら帽子を被ったおじいさんが出てきた。
「ようこそさん。いまから畑行くんだ、スイカがなってるから好きなだけ持ってけ」
全く腰の曲がっていない、快活そうなおじいさん。
その後ろには同じく麦わら帽子を被った優しそうなおばあさんもいた。
「女の子が2人もいるじゃない。華やかで嬉しいわ」
荷物を置いてきなさんな、と言い残し、2人とも先に出ていってしまった。
ポツンと残された私たち部外者3人はお互いに顔を見合わせる。
「有……」
「なんだよ」
「「「似てるね」」」
3人全員シンクロ。
あの独特の空気感、他人に有無を言わせない感じ。
似てる。