恋泥棒の犯行予告


着替えてすぐに海に直行した私。

少し強すぎるくらいの日差しから逃げるように海の中へ入っていく。

澄んだ青。

足元にはたくさんの魚が自由に泳いでいる。

魚、なんか楽しそう。

私が方向転換をすると、それにつられるようについてくる。

おもしろい。


「っ!」


突然、横腹を何かに攻撃された。

衝撃でバランスを崩してしまうも、私の体は海に流されていくことなくがっちりと抱きしめられていた。


「へへ、びっくりした?」


ゴーグルを外すと、そこには濡れた前髪をかきあげる日世。

うわ、水も滴るなんとやらってやつだ。


「死ぬかと思った」

「ごめんごめん。ちょっと勢い余っちゃった。いいよねぇ海。すごい久しぶりだ。俺たちいま自由だよ」


そうやって言いつつも、一向に日世が離れる気配はない。

私、全然自由じゃないんだけど。

お腹に腕をまわされているのが、なんか妙に緊張する。

あ、そういや服がないんだ。

ビキニなんか着てくるんじゃなかった……。

地肌と地肌。

日世のごつごつとした大きな手が、私のお腹にそっと添えられている。
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