デアウベクシテ
第30話~“ありがとう”
近付く。もう目の前。楽しみ?なんて軽い言葉。でも嬉しい気持ちに変わりはないの。私の心を弾ませる。
明日、区役所に行く。賢人と一緒、婚姻届を出す為。
その前夜。賢人の優しいキスと激しいキス。
「賢人、電気消して…。」
「今夜はこのまま。」
「どうして?」
「彩華を見たい。『神谷 彩華』になる前の、『永瀬 彩華』を。」
「神谷…彩華…。」
明日には、私は『神谷 彩華』になる。こんな日が来るなんて。胸がときめく。私がときめくなんて。
「じゃあ…ちゃんと見ておいて…。」
「じゃあ、ちゃんと見せて。彩華。」
賢人は私の髪を撫でる。
「彩華は本当に綺麗だ…。」
賢人の手が私の頬を包む。
「美人で…。」
その手が首から肩に。
「体のラインも肌も綺麗で…、その上いい女…。俺はどうしようもなく幸せな男だ。」
「それは違う賢人。私はいい女じゃない。」
「じゃあ彩華はどんな女?」
賢人の舌が、私の首を走る。
「…んー…素直じゃない女…。そうでしょ?」
「でも俺にとってはとびきりいい女。」
舌を少し出しながら賢人は言った。私は恥ずかしくなる。
「そうなの…?」
賢人の手はゆっくりと下へ。包まれいじられる。そして舌で遊ぶ。それだけで気が遠くなる。
「俺は本当のことしか言わない。今までだってそうだっただろ?」
「そう…だけど…」
私の好きで弱いところ。賢人の指が触れる。
「ここは…可愛い…彩華…」
触れた指、私をいじめる。いじめは激しくなる。
「柔らかくて…膨れて…固くなって…」
「…言わない…で…」
その指は私の中をいじめ始める。激しく優しく。
「彩華、いつもより興奮してる?彩華がどんどん溢れてくる…」
腰はうずくのに、声が出ない。苦しい。息をさせて、賢人。
「味も覚えておこう…」
私はそのまま頂点へ。その後私は賢人をたっぷり飲み込み、そしてふたり一緒に頂点へ。
.
.
.
今なら言える。
ごめんね、『これまでの私』。
素直になれないから笑顔になれない。
悲しみに蓋をしてそれに気付かない。
自分を苦しめてたね。ごめんね。
そんな『これまでの私』をしてくれて、ありがとう。
ねえ、『これからの私』。
賢人を愛したい。顔も知らない誰かを救いたい。
その為には何より、自分を大切に生きていこうね。
人生、それだけで充分だと思うの。
『これからの私』はどう思う?
この気持ち、大切にしていこうね。
じゃあね、永瀬 彩華。
よろしくね、神谷 彩華。
そして、ありがとう賢人。
全部全部教えてくれて、ありがとう。
愛してるからね、賢人。
明日賢人に言おう。全部全部言おう。
今なら言える。素直に言える。
“ありがとう”
.
.
.
翌日、賢人と一緒に区役所へ。この建物を出る時にはもう私は。
届は無事、受理された。区役所を出て賢人は私の手を握った。
「彩華。」
「なに?」
「これからよろしくね。」
「え?」
賢人は微笑む。
「彩華はもう俺の奥さんだ。不束な旦那かもしれないけど、よろしくね。」
さらっと優しく、賢人は言った。目を輝かせながら、頼もしい台詞。賢人は嬉しそうだった。私はいきなりのことで驚き、羞恥と照れを隠す。賢人から目をそらせてしまった。
「わ、私こそ…不束かもしれないけど…。」
「彩華照れてる。可愛い奥さんだ。」
「からかわないで!…いじわるな…旦那さんね…。」
賢人から目をそらせたまま、私は賢人の手を強く握った。
明日、区役所に行く。賢人と一緒、婚姻届を出す為。
その前夜。賢人の優しいキスと激しいキス。
「賢人、電気消して…。」
「今夜はこのまま。」
「どうして?」
「彩華を見たい。『神谷 彩華』になる前の、『永瀬 彩華』を。」
「神谷…彩華…。」
明日には、私は『神谷 彩華』になる。こんな日が来るなんて。胸がときめく。私がときめくなんて。
「じゃあ…ちゃんと見ておいて…。」
「じゃあ、ちゃんと見せて。彩華。」
賢人は私の髪を撫でる。
「彩華は本当に綺麗だ…。」
賢人の手が私の頬を包む。
「美人で…。」
その手が首から肩に。
「体のラインも肌も綺麗で…、その上いい女…。俺はどうしようもなく幸せな男だ。」
「それは違う賢人。私はいい女じゃない。」
「じゃあ彩華はどんな女?」
賢人の舌が、私の首を走る。
「…んー…素直じゃない女…。そうでしょ?」
「でも俺にとってはとびきりいい女。」
舌を少し出しながら賢人は言った。私は恥ずかしくなる。
「そうなの…?」
賢人の手はゆっくりと下へ。包まれいじられる。そして舌で遊ぶ。それだけで気が遠くなる。
「俺は本当のことしか言わない。今までだってそうだっただろ?」
「そう…だけど…」
私の好きで弱いところ。賢人の指が触れる。
「ここは…可愛い…彩華…」
触れた指、私をいじめる。いじめは激しくなる。
「柔らかくて…膨れて…固くなって…」
「…言わない…で…」
その指は私の中をいじめ始める。激しく優しく。
「彩華、いつもより興奮してる?彩華がどんどん溢れてくる…」
腰はうずくのに、声が出ない。苦しい。息をさせて、賢人。
「味も覚えておこう…」
私はそのまま頂点へ。その後私は賢人をたっぷり飲み込み、そしてふたり一緒に頂点へ。
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今なら言える。
ごめんね、『これまでの私』。
素直になれないから笑顔になれない。
悲しみに蓋をしてそれに気付かない。
自分を苦しめてたね。ごめんね。
そんな『これまでの私』をしてくれて、ありがとう。
ねえ、『これからの私』。
賢人を愛したい。顔も知らない誰かを救いたい。
その為には何より、自分を大切に生きていこうね。
人生、それだけで充分だと思うの。
『これからの私』はどう思う?
この気持ち、大切にしていこうね。
じゃあね、永瀬 彩華。
よろしくね、神谷 彩華。
そして、ありがとう賢人。
全部全部教えてくれて、ありがとう。
愛してるからね、賢人。
明日賢人に言おう。全部全部言おう。
今なら言える。素直に言える。
“ありがとう”
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翌日、賢人と一緒に区役所へ。この建物を出る時にはもう私は。
届は無事、受理された。区役所を出て賢人は私の手を握った。
「彩華。」
「なに?」
「これからよろしくね。」
「え?」
賢人は微笑む。
「彩華はもう俺の奥さんだ。不束な旦那かもしれないけど、よろしくね。」
さらっと優しく、賢人は言った。目を輝かせながら、頼もしい台詞。賢人は嬉しそうだった。私はいきなりのことで驚き、羞恥と照れを隠す。賢人から目をそらせてしまった。
「わ、私こそ…不束かもしれないけど…。」
「彩華照れてる。可愛い奥さんだ。」
「からかわないで!…いじわるな…旦那さんね…。」
賢人から目をそらせたまま、私は賢人の手を強く握った。