永世中立でいたいんだけど、そうさせないのが君たちだよね 〜龍になっております〜
辺りは既に火の勢いがなくなっている。パチパチと残り火の音が静寂をこだまする。
「私は…」
言いかけたその時、私の身体でさえ宙に浮く程の強い風が吹き荒れた。
「トラント様…!」
既に風の発生原因となる者が姿をあらわにしている。上空に舞う深緑の龍族にまたがり、黄金を首から下げ、聖職者のような格好をした年配の男が多くの配下を背に訝しげな顔をしてブレイン・ブルーの地に降り立つ。
「我が子たちはここで何をしておる。」
その場にいた者たちが跪く。めいもゆいも膝を折り、顔を下にしている。え、これ私もやったほうがいいかな。周りの龍族も同じように頭を垂れている。この人そんなに偉い人なのだろうか。少し遅れて自分の巨体を地につける。
ーーずううんーー
「な、なんと…純白の龍族が頭を垂れている…」
驚きの声がざわついている。
…ん?あれ?私は跪かなくて良かったの?先に言ってよ。そう思い、首を持ち上げた。
「伝説の龍族が魔族に頭を垂れている姿は初めて見た」
訝しげにしていたその顔は柔らかく微笑みを浮かべている。
「私はこのブレイン・ブルーを治める皇族だ。本来ならば君も龍族を束ねる立場でもある。」
龍族を束ねる?この私が??
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