如月の空の下、光る君を見つけた。
横でおにぎりをちびちび食べていた私は唖然と空っぽの弁当箱を見つめた。



「あの...味は?」


「うん、不味くはない。だけど、特別美味しくもない。昨日食べたロケ弁の方が何倍も美味しかった」


「そ、そっか...」



料理もイマイチだったら私なんの取り柄があるんだろう。


地味に傷ついた。


こんな時、陽翔くんならなんて言ってくれたかな?


不味くても笑って食べてくれたのかな?


美味しいよって最高のキラースマイルで言ってくれたかな?


頭ぽんぽんしてくれたかな?


そう考えると胸が痛い。


ズキンズキン激しく痛み、全身を蝕んでいく。


失恋による病は完全にこじれてしまったようです。



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