空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
夜空を彩る花火を見つめながら、私はこの4ヶ月間を思い出していた。

4月。

始まりはサッカーボール。

私の足元に転がって来たボールを颯翔くんが取りに来た。

ぶっきらぼうな態度だったけれど、私のハートは1発でど真ん中に射ぬかれた。

颯翔くんの名前とクラスを知った後、私は手紙を書いた。

自分のことを知ってほしいと何でもかんでもプライバシーなんて気にせずつらつらと書いた。

日記みたいなものだった。

自分のことと授業のこと、先生のこと、家族のこと。

とにかく毎日私の回りで起きる出来事を書いていた。

1ヵ月経っても返事が来なくて痺れを切らした私は赤い封筒で仕掛けた。

土砂降りの中、颯翔くんを待ち続けた。

寒さに震える私を助けてくれたのは待ちに待った颯翔くんだった。

お父さんのスウェットは良く似合っていたし、料理男子ということが判明した。

そしてすごく優しかった。

たいしたことない火傷をあんなに心配してくれた。

初めての手作りクッキーを美味しいって言ってくれた。

雨上がりに見上げた空には雲はひとつもなかった。

それからやっと仲良くなれて屋上で樹くんと3人で一緒にご飯を食べたり話をしたりもした。

色々あって会えなくて久しぶりに会ったと思ったらいじめの現場で。

そこでも助けてもらっちゃって病院も付き添ってくれた。

あの日のカフェのパフェをもう一度食べ直したい。

そこで颯翔くんは青空さんのことが好きだと改めて分かった。

気持ちを抑えられず勢い余って告白してしまって、感情も状況も誤魔化したくて夕陽を見に海岸に行った。

茜色の空と海と颯翔くんはこの世のものとは思えないくらい眩しくて美しくて神秘的だった。

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