空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
「はぁ...」

「おーっ!ナイスタイミングっ!」


ん?

この声は...。

私の視線は爪先から...猿くんの顔に移行した。


「あっ、あの時の...」

「いつも手紙ありがとう。楽しませてもらってるよ」

「えっ...」

「勘違いしないで。ちゃんと颯翔も読んでるから。今時ラブレターなんて、いいじゃんっ!おれももらいてぇ!」


まさか猿くんにも読まれていたなんて...。

ああ、もう最悪だ。

この人にまで私の詳細がバレてしまってる。

こんな悲劇ないよ...。


「で、今その返信をしようと思って手紙持ってきたんだけど、こうして会えたわけだし、口で伝えるわ」


返事は颯翔くんからが良かったのにまさかの代読。

嫌われてるの確定だ。

私はリュックの持ち手をぎゅっと握り、涙を堪えた。


「端的に言うと、颯翔は瀬生(せお)さんを煙たがってる。だから止めてほしいって言いたいところだったんだけど...」


けど?

けど何?


「もう少し粘れば颯翔が心を開くかもしれない。あいつコミュ障でさ、顔はいいのにあんなドライでクールだから、友達がおれともう1人くらいしかいないんだよ。ちなみにこの学校ではおれただ1人。ファンの中でも瀬生さんは別格だ。あいつの心をどうにか動かしてほしい。これは幼なじみで親友のおれからのお願いだ。よろしく頼むよ」


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