空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
神様の不機嫌に翻弄されながら1時間が経過した頃。

いよいよ寒さに震えが止まらなくなり、トイレに駆け込んだ。

真冬の夜ように手がかじかみ、必死に息を吹き掛けるものの一向に暖まらない。

それどころか徐々に体力が削れ、意識が朦朧としてくる。

そして思う。

バカ...。

私はバカだ。

ほんと、バカだ。

何が一目惚れよ。

うぬぼれすぎだよ。

颯翔くんは私のこと何とも思ってないのに...1人で...運命だとかいって...舞い上がって。

バカすぎだよ。

こんな意味不明な女、きっと相手になんかしてくれないよ。

やだな...。

涙が出てきた。

雨よりも暖かい。

あぁ、もうダメかも...。

でもこんなところにいちゃ、誰の目にもつかない。

戻ろう。

せめて外へ...。

その前にお母さんにメッセージ入れておくか。

スマホを取り出したものの、雨に濡れて使えなくなっていた。

防水ケース必要だったか...。

トホホ...。

ふらふらしながらもまだ歩けるようで、私は必死にくじらの噴水まで歩いた。

とにかく寒い。

ここに来てようやく傘を差し、その下に潜り込んでリュックを抱え込んで丸まった。

こんなことするのは...あの日以来か。

< 37 / 112 >

この作品をシェア

pagetop