空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
小学3年生の秋の遠足。
海の町から離れ、私たちは山にハイキングに行った。
身長145センチ、体重60キロの巨体を揺らしながら私は皆の背中を追ってせっせと歩いた。
だけど、途中で皆とはぐれた。
デブが癒しの木陰で休憩している間にずんずんと登っていってしまったのだろう。
大好きなチュッパチャプスを両頬にくわえ、ペロペロ舐めていると、空から雨が降ってきた。
雨が飴だったらいいのにというデブ思考が炸裂するなか、さすがにこのままではいけないと思い、歩きだした。
しかし、雨に打たれ、もともと少なかったHPが瀕死寸前まで迫り、私はリュックを抱え込み、ハリネズミのように丸まった。
私、死ぬのかな...。
本気でそう思い、遺書代わりに人差し指で好きな人の名前を地面に書いている内にうとうとしてきて目を閉じた。
と、その時...。
「碧萌!何してんだ!死ぬぞ!」
地面に必死に書いていたからだろう。
想いが伝わったのか、海くんはやって来た。
「立てるか?」
私より小さいくせに正義感が強く、懐は大きい。
「立てるよ」
「ちょっと先で拓も待ってる。手繋いでやるから本降りになる前に頑張って登るぞ」
「うん...」
海くんの手は暖かくて大きかった。
私はその手に引かれて山を登り、雨も山も困難も乗り越えたんだ。
その手をもう握ることはない...。
海の町から離れ、私たちは山にハイキングに行った。
身長145センチ、体重60キロの巨体を揺らしながら私は皆の背中を追ってせっせと歩いた。
だけど、途中で皆とはぐれた。
デブが癒しの木陰で休憩している間にずんずんと登っていってしまったのだろう。
大好きなチュッパチャプスを両頬にくわえ、ペロペロ舐めていると、空から雨が降ってきた。
雨が飴だったらいいのにというデブ思考が炸裂するなか、さすがにこのままではいけないと思い、歩きだした。
しかし、雨に打たれ、もともと少なかったHPが瀕死寸前まで迫り、私はリュックを抱え込み、ハリネズミのように丸まった。
私、死ぬのかな...。
本気でそう思い、遺書代わりに人差し指で好きな人の名前を地面に書いている内にうとうとしてきて目を閉じた。
と、その時...。
「碧萌!何してんだ!死ぬぞ!」
地面に必死に書いていたからだろう。
想いが伝わったのか、海くんはやって来た。
「立てるか?」
私より小さいくせに正義感が強く、懐は大きい。
「立てるよ」
「ちょっと先で拓も待ってる。手繋いでやるから本降りになる前に頑張って登るぞ」
「うん...」
海くんの手は暖かくて大きかった。
私はその手に引かれて山を登り、雨も山も困難も乗り越えたんだ。
その手をもう握ることはない...。